観覧車回れよ回れ想ひでは君には一日我には一生  栗木京子

「かんらんしゃまわれよまわれおもいではきみにはひとひわれにはひとよ」若い女性の恋の歌の代表歌となっている

男性にとってはたった「一日」であろうとも女性の私にとっては「一生」の想いでである

そのように解釈されるのが、一般的である

しかしながら作者の他の作品を読み、また同じ時代にそしてその後の時代に生きてきた女性には、違和感を感じるであろう

女性にとってのみ「恋」は人生を左右されるほど、大きなものなのだろうか

ある日その謎は解けた
某短歌誌に書いてあったのだ。
この歌は、作者が教員生活を送っていたとき、教え子を連れての校外学習のときの感慨を詠んだ歌であると。

これから長い人生を歩んで行くであろう教え子たちには、たった一日の出来事ではある。しかし、まだ若い新米教師の「我」にとっては一生の想いでである。
教職を天職とした若い女教師の、思いが溢れている。それは切なく、かなしい

その後、彼女は教員としての立場を去り、家庭に入っている。
それでも、教職を天職としたその思いは変わらずに残っているのだろう

幼いものを見守る、美しくそして哀しい視線がそこにはある