野口和夫

草隠り鳴ける蛙の声低し鳴き止みたれば唯のくさむら  野口和夫

軽トラック一台分の人生を載せて息子が今日やってきた 気の抜けしビールも旨し他人には可愛くもなき子と暮らしつつ 以前「野口さんは、とほほの人である」と書いたことがあった。野口さんの「とほほ」は技である。天に昇ること無い「とほほ」を、地に落ちる…

電飾に守られながら春浅き夕暮に一人乗る観覧車  野口和夫

今年度の歌壇賞の候補作に、所属結社の野口和夫が残り、「惜しかったよ」と友人から知らされる。歌壇二月号、急遽取り寄せねばなるまい。掲出歌は、2003年1月の結社誌の一首鑑賞にて、取り上げさせていただいたものである。【以下は、2003年1月号に掲載され…