いえはほどく

急激なアクセス数の増加に、うろたえなかったと言うと、嘘になる
大いに狼狽したのだ。
弱小結社に所属する、無名のそれも子持の閑職者のブログである。
そんな私に、中学生の息子が「大丈夫だよ。Meikoなんて田舎のオバサン、みんな気にしてないから、すぐに忘れちゃうよ」そして「残って読んでくれる人なんて、ほんの僅かだから、のんびりやりなよ」と言ったのだった。
『親が無ければ子が育つ』と書いた文学者は、誰だったろう。
子は愚かな親を反面教師として、賢く育ってくれるだろうか。蛙の子はやはり蛙なのだろうか。

今日の短歌は、私の所属している結社の大先輩にあたる、西村としの作品である。この人も、福岡県の豊前市に住む無名の歌人の一人である。

物はみな倒す潰すに打ち壊す家は優しく解くと言えり(ルビ・「解く」:「ほどく」)  西村とし

日本語とは、なんとも優しい言葉ではないか。
万物あらゆるものに神の宿る、その国に生まれたことを、この歌を読み幸いに思った。

アメリカの高層ビルディングの爆破による解体を、テレビの画面で観ることがある。あっけ無く、一瞬で崩れ落ちる様を見るにつけ、アメリカという国の精神性の強靭さを思い知らされる。
ハンバーガーとコカコーラ、それにフライドポテトの国に生きる人たちの、タフネスぶりには驚嘆し、羨望すら覚えるが、とても私の体力ではついていけそうも無い。

取り壊すビルディングにも、ビニールシートをかけて、それから解体してゆく、その無駄とも思える時間の流れの方が、安心をする。
と書いているが、日本は地震が多いため、彼の国とでは高層建築物の工法が違うらしい。その工法の違いが、解体にも及んでいるだけであると、建設業を生業にしている夫から知らされた。

それだとしても、家は「ほどく」方がよい。
最近は重機により、一気に解体施行も、済むそうではあるが。