物はみな倒す潰すに打ち壊す家は優しく解くと言えり(ルビ・「解く」:「ほどく」)  西村とし

日本語とは、なんとも優しい言葉ではないか。
万物あらゆるものに神の宿る、その国に生まれたことを、この歌を読み幸いに思った。

アメリカの高層ビルディングの爆破による解体を、テレビの画面で観ることがある。あっけ無く、一瞬で崩れ落ちる様を見るにつけ、アメリカという国の精神性の強靭さを思い知らされる。
ハンバーガーとコカコーラ、それにフライドポテトの国に生きる人たちの、タフネスぶりには驚嘆し、羨望すら覚えるが、とても私の体力ではついていけそうも無い。

取り壊すビルディングにも、ビニールシートをかけて、それから解体してゆく、その無駄とも思える時間の流れの方が、安心をする。
と書いているが、日本は地震が多いため、彼の国とでは高層建築物の工法が違うらしい。その工法の違いが、解体にも及んでいるだけであると、建設業を生業にしている夫から知らされた。

それだとしても、家は「ほどく」方がよい。
最近は重機により、一気に解体施行も、済むそうではあるが。