溜池の石斛ほのかに匂うなり伸び立つ布袋葵の陰に        長尾もとね

今日も、古い結社誌から

「石斛」を調べたところ、「いわぐすり」と読み〈せっかい〉のことなどと早とちりをしてしまった
一瞬なんのこっちゃと混乱したのだ。
溜池に石灰を撒いて一体どうするのだろうかと
若しや、水を浄化する効果でもあるのだろうか
物知らずは悩みに悩んでしまったのだ。

「石斛」の正体は、日本原産の蘭(デンドロビュームの系列)の一種で、自生は宮城県付近が北限らしい。
布袋葵は、南方の国が原産国で、日本では比較的暖かな地域に自生する、水生植物のようである。
繁殖率は、布袋葵のほうが強そうである。

ここまで調べて、この歌の輪郭が見えてきた。

石斛は、小さく可憐な花であり、日本人の情緒をくすぐるような部分がありそうだ。(4/10)