石田比呂志

判らするための努力がけだるくて目まひする別れかたして来たる  石田比呂志

(「石田比呂志全歌集・初期歌編」より ) 短歌研究第14号10巻、昭和32年9月号の「第五回五十首詠」の入選作の中に、この歌はある。 その号に大きく「絶賛発売」として「松田さえこ歌集『さるびあ街』」の公告が大きくされていた。 その年の特選はな…

生活の中の光の如くにも妻に磨かれて白き卵あり   石田比呂志  (ルビ・卵:らん)

第一歌集『無用の歌』より 本当は、今日は七月七日 七夕なのである七夕の歌を、せめて天の川の歌を思ったのだが、見つからず とりあえず、七月五日付けでお茶を濁すこととする。この歌を詠んでいた頃、前後の歌から察するところ、石田比呂志はやはり定職につ…

酒のみてひとりしがなく食うししゃも尻から食われて痛いかししゃも  石田比呂志

歌集『滴滴』の中より石田比呂志全歌集作者: 石田比呂志出版社/メーカー: 砂子屋書房発売日: 2001/05メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (2件) を見る石田比呂志は、歌作の手の内を、簡単に見せる歌人である どのように推敲したのか、ポイ…

檻の中を歩む孔雀は羽を拡げわれは人生を諦め難し  石田比呂志

石田比呂志第一歌集「無用の歌」の中の一首である。 出版時、石田は35歳、東京でキャバレーの支配人であった頃であろう。 夫人の山埜井喜美枝と共に、「未来」の会員だった頃である。 山埜井氏がNHK短歌の選者となったばかりの頃、某掲示板に「ぽっと出の田…